巨大出版社で唯一の成長路線、カドカワ 売上推移(FY16まで)

巨大出版社で唯一の成長路線、カドカワ 売上推移(FY16まで)

カドカワの売上を可視化。その推移に要注目

カドカワの売上は上昇傾向にある

  • 14年間で売上125%増
  • 最新では電子売上は9%を占める

カドカワはどんな出版社

もはやカドカワは総合メディア企業であり、出版社の域を超えている。ドワンゴと統合したあたりから出版社を超えた何かになった感が強い。(統合当時の社名は株式会社KADOKAWA・DWANGOで、「ドワンゴの名前」残るんだーと思ってたら、2015年には商号がカドカワ株式会社になった)なので、カドカワの売上を見る際には、ニコニコ動画関連や音楽配信などの売上も計上された状態であることを注意して上のグラフなりを見てほしい。出版社にしては珍しく、上場企業であるため、開示情報は他の出版社比べて圧倒的に豊富。書籍や電子書籍系のデータに注目することも可能だが、IR資料とかだと、意外にまとめられているので、この場では全体の数字でグラフを作っている。

カドカワの基礎情報

  • 決算時期:毎年3月
  • 本社所在地:104-0061 東京都中央区銀座四丁目12番15号 歌舞伎座タワー
  • 出版もさることながら『ニコニコ動画』等で有名

FY16決算サマリー

  • 売上:1,862億(内、電子は195億)
  • 営業利益:84億
  • 最終利益:57億

電子の売上だけなら、他の出版社(講談社や集英社などの大手)とあまり変わらない。超先進的であるがために、電子化率も高いかと思いきや、中の構造はやはり並の出版社と同じ模様。

カドカワは攻めの姿勢で売上上昇に成功

メジャーな出版社が軒並み、売上低下なのに対して、カドカワは攻めの姿勢で売上上昇に成功している。2,000億の大台である。経営の多角化により、出版ビジネス以外にも手を広げているのが功を奏した形だ。と言っても毛色違いのビジネスではなく、エンタメを主軸とした王道ビジネスで、着実に成果を収めてきた。中でも、ニコニコ動画で有名なドワンゴとの合併は大きい。出版以外の金額が売上には入っているため、電子割合が小さく見えるが、実態としては、出版ビジネスだけを見れば、その電子への依存度はもっと大きいと思われる。

カドカワの電子書籍における可能性

傘下にブックウォーカー、読書メーター、カクヨム等が存在し、新しい販売、出版のビジネスに取り組んでいることから、幸先は良いと思われる。如何せん、ブックウォーカーはラノベ指向が強すぎて、一般読者層がいるのかわからないので若干心配。少しメジャー化してただの管理ツールでなくなってきている読書メーターはコア層が逃げないか心配。カクヨムは鳴かず飛ばずで、そもそも心配。まあ、新しい取り組みに挑戦しているだけましであろうか。