講談社の電子書籍が値上げして紙版より高い。

講談社の電子書籍が値上げして紙版より高い。

最近ワインに凝っていて、そのきっかけとなったのが、『神の雫』という漫画作品だ。電子書籍で毎週少しずつ買いながら読んでいるのだ。現在30巻に差し掛かっている。先日31巻を買おうとしたところ、あることに気がついたのだが、電子版の方が紙版よりも高いのだ。

神の雫

楽天Koboの場合なのだが、電子書籍版は648円で紙書籍版は596円とある。52円も電子書籍の方が高いのだ。

この現象は他の電子書籍ストアでも起こっている。

神の雫

Kindle版が648円、紙が588円だ。(微妙に楽天が安い上、楽天のほうがポイントがつく。頑張れ、Amazon!)

電子書籍版の値上げには賛成

そもそもだが、エンタメ系のコンテンツに関して、値上げは大賛成だ。(いや、もちろん安いにこしたことはないのだよ?)

なぜならば、昨今は、可処分時間の奪い合いが、コンテンツ間だけではなく、あらゆるサービス間で行われるため、漫画や小説といった「サービス」に時間が相対的に割かれなくなってきているのだ。その一つの要因がスマホの登場とそれに付随する様々なサービス群だろうというのは、想像に難くない。

どんなに優れた作品であっても、この時代の流れからして、大きな儲けや利益を出すのが難しい。そうなると、価格戦略をとるしか道はなくなる。安売りして、大勢から銭をもらうか。それか価格を高く設定し、欲しい人だけからお金をもらうか。

私は後者をおすすめしたい。安売りは価値の安売りである。長期戦には不向きだ。(価値が0になったら、それ以上下げられない)

これから先、出版社や著者が生き残っていくには、価格をあげるのが良いと思う。漫画や小説はよく、生活必需品ではないと、言われる。だが、本当にそうだろうか。寝食を忘れて、エンタメに没頭する人を見る。他に大切なことがあるだろうにと傍から見ていて思うが、本人はそれでいいらしい。そう言えば私も思い返すと、学生時代なんかは昼食費を削っては、本やゲームを買っていた。(まあ親の金だったけど)

何が言いたいかと言えば、価格をあげても欲しい層、買う層は絶対にいるということだ。

高くし過ぎて売れないのは値段のせいではないのだ。それはその作品に魅力がなくなったからだろう。

現に私は、『神の雫』を買い続けるし、仮に面白くないと思ったら、もうそこで次巻の購入はストップする。(もちろん、1冊1万とか言われたら、買うの躊躇しますがね)

ただし、紙より高いことには反対

出版社は生存戦略として”値上げ”を取ったということだ。これに反対するのは、昨今の漫画村批判の盛り上がりから言って、いただけない。最終的にクリエイターに報酬が行くシステムを存続されることに、賛成ならば、この値上げにも賛成なはずだ。それで面白い作品が、継続的に量産されていくのだ。(出版社だけが儲かるなら話は別ですけどね)

しかしながら、紙の本より高い値段設定というのが、ナンセンスな気がする。電子書籍を盛り上げようという機運が高まっている中で、それを阻害する原因になりかねない。そんなことはいくらバカな出版社でもわかっているはずだ。特に講談社なんかは、電子書籍を一番リードしている最大手出版社だ。

よって、私は紙の本が、今後さらに高騰することを予言する笑

一時的に「電子 > 紙」 の価格差構図をみてとれるが、紙をまた値上げしたらすぐに逆の構図が生まれるのだ。

一方で、そうはならないかもしれないとも感じている。(すいません、矛盾する発言で)

というのも、電子書籍というのは、よく値引きセールを行っている。あれは、ストア持ち原資のこともあれば、出版社持ち原資のこともある。要するに、値引きの補填を誰かが行っているというビジネスなのだ。(500円の本ですが、本屋が200円負担するんで、300円で売ります。ただし、戻しは500円を元に計算しますよ、みたいな話)

誰が負担するにせよ、電子書籍の値段は定価より安く買えることがほとんどだ。下手をすると、50%OFFなんてのもよくある。そうなると、上の例にあげた『神の雫』は324円で買えることになり、紙より安い。

このような定常的な10〜20%の値引きやポイントバックは、どこの電子ストアでも行われている。よって、値上げを敢行したところで、影響はないとみてとったのかもしれない。

小学館も値上げしたらしい

いろんな出版社で起きており、中小も追随しそう。あと、どの本が対象で、どの本が対象じゃないのかが、よくわからない。講談社だとモーニング系は一斉に値上げしていたが、進撃の巨人は対象じゃなかった。

仮説:読み放題系アプリの本が対象?

値上げの対象になった本が実は、全てではないのだ。『進撃の巨人』はような気がする笑 これら対象本の定価をあげておけば、出版社には多くお金が入ってくる。(紙の本はもう売れていないから、値段の上げ下げはあまり関係ない)

上述の通り、今後は電子が伸びていくので、高い値段であっても、それを良しとする人は増えてくる。

『進撃の巨人』なんかは電子の方が価格が抑えられているが、これは紙でもよく売れるし、電子でも売れ線だ。そして、人気作なので、読み放題アプリには出ていない。

つまり、出版社は消費者からお金をもらう作戦ではなく、権利を貸し出している先であるアプリ業者からお金をたくさんもらおうとするために、今回電子作品が軒並み、価格をあげたのではないかという推論だ。(もちろん、普通の小売りの方も、値上げすれば売上あがるの算段はあるのでしょう)

価格設定にも色々な考えがあるに違いない。斜陽産業である出版社は本当にお疲れ様です。