絶好調のめちゃコミックの売上推移(FY16まで)

絶好調のめちゃコミックの売上推移(FY16まで)

犬のCMでおなじみのめちゃコミック

めちゃコミック売上推移グラフ

めちゃコミックの売上・利益

めちゃコミックを運営しているのはアムタスという会社だが、その親会社はインフォコムという会社だ。この会社は一部上場しており、IR情報が見られる。それによれば電子書籍事業はかなり順風満帆といったところだろうか。売上は右肩上がりである。利益も右肩上がりに見えるのだが、如何せん電子書籍だけを切り出した営業利益は資料上に記載がないため不明だ。上のグラフもいつもなら、粗利と営業利益を可能な限り推測しながら載せるが、今回はそれは危険と判断して掲載していない。ちなみにだが、インフォコムは電子書籍専業の会社ではない。元は帝人系のシステム屋だ。(現在も株式の55%以上を帝人が保持している)事業は二本柱で構成されており、

  • ITサービスセグメント
  • ネットビジネスセグメント

の2つからなる。詳しくは不明だが、電子書籍事業は後者に含まれ、その売上が180億を超える。前者の売上は220億ほどで、電子書籍事業が追い越そうとしている状況だ。会社の半分の売上を「電子書籍」が作っていると言っても過言ではない。相当額の販管費をかけて、その事業に注力していることはもはや誰から見ても明らかなのではないだろうか。販管費の内訳は当然TVCMなどの広告宣伝費であり、他事業で儲けた利益の大半を突っ込んでいるのではないかと思われる。

FY16決算サマリー(インフォコム)

  • 売上:417億(うち、電子書籍は180億)
  • 営業利益:47億(うち、電子書籍を含むセグメントの利益は28億)
  • 当期純利益:32億

インフォコムの基礎情報

  • 決算時期:毎年3月
  • 本社所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前二丁目34番17号
  • アムタスも同じ住所である
  • 会社として電子書籍に相当力を入れている
  • めちゃコミック自体は2006年のサービスで、10周年を迎えている
  • めちゃコミック以外にもekubostoreという電子書店も展開(コミックオンリー)

運営は10年以上続いている

10年以上もめちゃコミックを運営していることに脱帽だ。そして、今やその規模はKindle並かそれ以上と思われる。もともとはインフォコム内のネットビジネス事業を行う部署のサービスに過ぎなかったが、2013年にアムタスとして分社化された。スマホの潮流とともに一気に売上が加速していったのだろう。そして2014年5月からマス訴求を図るべく、TVCMが始まった。

電子書籍に関する項目は年々、そのIR資料の中で重きが置かれ、増えていっている。それだけ彼らが注力し、成果が出ていることの証左である。FY19には300億超えを狙っているという。恐ろしい限りだ。

市場の成長スピードを超えている

という発言も資料上ではあり、AmazonKindleを超えていそうな雰囲気がある。(利益をきちっと出していそうな点もKindleとは異なる)

電子書籍配信サービス「めちゃコミック」「ekubostore」の5月度の月間売上高が過去最高の14億円を突破

このリリースによれば、単月で最高の売上である14億を達成したという。一点気になるのは、めちゃコミックとekubostoreの合計値となっている点だろうか。個人的な意見ではあるが、この14億そして、年間180億の売上を積み上げているのは、ひとえにめちゃコミックであると言ってもいいのではないだろうか。(宣伝はめちゃコミックしかやってないし)この推測は遠からず当たっているとは思うが、悪くても90%はめちゃコミックのものだろう。めちゃコミックの平均的な売上を算出してみる。FY16の電子書籍事業が180億という結果から、その90%をめちゃコミックが積み上げていると仮定して、

180億×90% ÷ 12ヶ月 = 13.5億

大体、上のリリースとも符号するので悪くない試算ではないだろうか。

どれくらいTVCMやっているかと言えば

インフォコムによる、めちゃコミックの大規模CM作戦が始まったのは2014年の5月からだ。

アムタス、「めちゃコミック」のテレビCMを開始

犬でおなじみのCMである。この頃より、爆発的に売上が伸びてゆく。ユーザーが増大したのだ。これに端を発して、CM攻勢は強まり、現在に至る。めちゃコミックはGWや夏休み、そして年末年始にCMを当ててくる傾向が強い。(エンタメビジネスだから、そうなるのも納得)参考までに、CMを打ち出した年の年末年始<2014年12月から2015年1月>のテレビ広告統計によれば、何と、商品・サービス別テレビCM本数部門で、めちゃコミックは3位に入っている。その詳しいデータは下記だ。

2015年 正月三が日のテレビCM動向

少し古い情報だが、勢いや規模感を知る上では十分だろう。

順位 広告主名 本数 秒数
1 7gogo(トークアプリ 755) 212 3,180
2 ユ-キャン(通信講座案内) 178 2,670
3 アムタス めちゃコミック 143 2,145
4 永谷園 お茶漬けの素 140 2,100
5 LINE 134 2,010
6 日産製品総合 120 1,800
7 チョ-ヤ 酔わないウメッシュ 110 1,650
8 ダイハツ MOVEカスタム 107 1,605
9 青山商事(洋服の青山初売りセール案内) 106 1,590
10 King.com(キャンディ-クラッシュ紹介) 104 1,560

※2015年 正月三が日のテレビCM動向(「テレビ広告統計」超速報サービス)集計結果より抜粋

2017年版には残念ながらランクインしていなかったものの、彼らの広告戦略にTVCMは外せないはずなので、まだしばらくはあの犬の姿を目にすることになるだろう。