平成のベストセラーは何冊電子化されているか調べてみた。
巷では「平成最後」の商戦が勃発しているが、このブログでもそれは同じだ。私も平成最後に乗っかって記事を書いてみたい。(思うに、平成の最後を出汁にしているが、新元号の最初も、きっとみんな使いたがるんでしょう。「平成最初の!」みたいな)
平成の三十余年にて、世の中には多数のベストセラーが生まれてきた。私も尽くを読んだわけではないが、そのうちの何冊かは自分で買って読んだ記憶がある。主に自分の意思で本を買うようになった小学生時代から今のひとときまで、ベストセラーと聞くと買ってしまうのだ。
私が小学生の頃など、まだ電子版などない。しかし、今は電子書籍全盛時代だ。紙がまだまだ支配的とは言え、選択肢の候補として十二分に読者は電子版を考えていることだろう。
そこで、今回はベストセラーのうち電子化されているもの、もしくはされていないものを、平成年間の順に紹介してみたい。
余談だが、去年さくらももこが亡くなった際には、それにかこつけて記事を書き、さくらももこのエッセイが電子化されていないことを嘆いた。
しかし、死後、『もものかんづめ』をはじめとする、彼女のエッセイは次々と電子化されていった。これは著者の死の影響なのか、もともとの計画だったかは定かではないが、かつてのベストセラーは着実に電子化が進んでいることを示している。
- 1. 平成元年(1989年)
- 2. 平成2年(1990年)
- 3. 平成3年(1991年)
- 4. 平成4年(1992年)
- 5. 平成5年(1993年)
- 6. 平成6年(1994年)
- 7. 平成7年(1995年)
- 8. 平成8年(1996年)
- 9. 平成9年(1997年)
- 10. 平成10年(1998年)
- 11. 平成11年(1999年)
- 12. 平成12年(2000年)
- 13. 平成13年(2001年)
- 14. 平成14年(2002年)
- 15. 平成15年(2003年)
- 16. 平成16年(2004年)
- 17. 平成17年(2005年)
- 18. 平成18年(2006年)
- 19. 平成19年(2007年)
- 20. 平成20年(2008年)
- 21. 平成21年(2009年)
- 22. 平成22年(2010年)
- 23. 平成23年(2011年)
- 24. 平成24年(2012年)
- 25. 平成25年(2013年)
- 26. 平成26年(2014年)
- 27. 平成27年(2015年)
- 28. 平成28年(2016年)
- 29. 平成29年(2017年)
- 30. 平成30年(2018年)
- 31. まとめ
平成元年(1989年)
『TUGUMI』吉本ばなな
山本周五郎賞を受賞。私も以前文庫版を読んだことがある。『キッチン』のような純文学臭がせず、非常に読みやすい小説だった。電子化している作品だ。
平成2年(1990年)
『愛される理由』二谷友里恵
この本は電子化されていない。芸能人の告白本は、当時こそゴシップとしては読んでいて面白いのだろうが、当の本人達の賞味期限というか人気がかつてほどでない今、電子化する意味がないのだろう。
平成初期と言えば、この他のベストセラー作家だとシドニィ・シェルダンが有名だ。彼の著作は電子化が長らく待たれていたが、今次々と電子版が出ている。(『真夜中は別の顔』とか)
平成3年(1991年)
『Santa Fe』宮沢りえ
売ってない笑 電子でも紙でも売ってません。多分永久に出ない。(文字モノメインで書きたいので、そもそも写真集は対象外なのだが、ネタとして書いてみた)
『もものかんづめ』さくらももこ
平成3年と言えば、さくらももこ最初のエッセイ集『もものかんづめ』だろう。電子版も昨年から売り始めた。(初期三部作、子供時代三部作も全て同時期に電子化)
平成4年(1992年)
『それいけ×ココロジー 』(1〜3巻)
心理ゲーム、心理クイズの本だ。所ジョージのテレビ番組で当時流行っていた模様。私はこの数年後のスペシャル番組(1996年頃)を見た記憶があり、その時はスペシャルゴールド版というのが本屋に山積みにされていた。流行を書籍化したに過ぎず、電子版は出ていない。
この他には『もものかんづめ』の続編である『さるのこしかけ』もこの年の一冊だ。
平成5年(1993年)
『磯野家の謎』東京サザエさん学会
当時の出版社ではないが、新装版として電子化されていた。マンガの謎を追うシリーズの元祖とも言うべき本なのだろう。この切り口で、ドラえもん等様々な作品の謎がネタとして扱われてきた。エポックメイキングな本が『磯野家の謎』だろう。
この年は『マディソン郡の橋』も翻訳され売れていた。これも電子化されている。
平成6年(1994年)
『日本をダメにした九人の政治家』浜田幸一
この本は電子化されていなかった。一種の流行本だからだろう。出版不況の到来を予感させるような本の登場だったのかもしれない。(もっと以前から出版不況は言われていたようだが)
平成7年(1995年)
『遺書』松本人志
この本と並んで『松本』松本人志もこの年、売れに売れた。若者のバイブルになっていた気がする。ところが、いずれも電子化されていない。こういう本を電子化しないでどうする。個人的には非常に電子化して欲しい本だ。松本人志の意向なのか、他の勢力の意向なのか知らないが、「平成最後」なんだし、平成のベストセラーの代名詞として、電子化を希望する。
この年は『ソフィーの世界』も売れた。こちらは電子化している。(ただし上下巻に分かれている)滅茶苦茶ぶ厚い、あの本が電子化しているだけでも価値がある。
平成8年(1996年)
『脳内革命』春山茂雄
読んだことはないが、当時話題になった記憶だけはある。ただし、電子化はされていない模様。
平成9年(1997年)
『ビストロスマップ完全レシピ』
こちら当然なのかもしれないが、電子化されていない。売れる気がするけども。当時、この本、母親が買っていて、家にあった記憶があるが実際にその料理を食べた記憶がない。当時を偲ぶ材料としてはかっこうの本だ。テレビ発、芸能人発のベストセラーでレシピ本というのもかなり斬新だ。後世にも語り継ぎたい珍ベストセラーかもしれない。
この他、この年は渡辺淳一の『失楽園』が売れていた。(連載中は、日経新聞の購読数を支えていたに違いない)これは電子化されている。
平成10年(1998年)
『新・人間革命』池田大作
電子化されている笑 ちなみに大川隆法もよく本を出しているがこちらも電子版は出ている。宗教家というのは、電子版が好きなのだろうか。○○革命というタイトルは『脳内革命』をもじったのか定かではないものの、その辺りのマーケティングセンスには脱帽するしかない。
この他では、五木寛之の『大河の一滴』も売れた年だった。
平成11年(1999年)
『五体不満足』乙武洋匡
電子化されている。当時読んで非常に感動した記憶がある。電子化されるといいことは加筆修正が行われる点だ。(もちろん改悪の可能性も否定はできないが)改めて読んでみたい本である。
平成12年(2000年)
『だから、あなたも生きぬいて』大平光代
電子化されていない。こういう社会派の本は電子化しないで、どうすんだ?という気しかしない。紙だけにしておくのはもったいない。詳しい内容は知らないが、時代にそぐわないとかあるんだろうか。
この他には『話を聞かない男、地図が読めない女』も売れた。これは電子化している。ただ、タイトルが示す通り、多少時代錯誤感が今だとある。今後も売れ続けるのかは不明だ。
そして、この年のベストセラーにはあの『ハリーポッターと賢者の石』も入っている。これから数年はしばらくハリーポッターによって日本、いや世界の出版界は支えられることになるわけだ。
平成13年(2001年)
『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン
ビジネス本として売れに売れた。社員教育や研修でよく使われた。電子化されている。
あと、金融本として有名なロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』もこの年に売れたようだ。しかし、こちらは電子化されていない。
平成14年(2002年)
『ハリーポッターと炎のゴブレット』他 J・K・ローリング
全シリーズ、電子化されている。世界一売れた本だ。
この他に、この年の有名な書籍として『世界がもし100人の村だったら』があり、電子化されている。
平成15年(2003年)
『バカの壁』養老孟司
電子化されている。新書ブームが到来した気がする。(以前からあったのだろうか)
あと、この年は『世界の中心で、愛をさけぶ』の人気に火がつき、翌年まで売れ続ける現象となった。電子版が発売されている。
平成16年(2004年)
『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』J・K・ローリング
この年は前年からの売れ続けメンツが多い。『バカの壁』や『世界の中心で、愛をさけぶ』だ。新作でのヒットが望めない業界の体質に、出版不況が色濃く反映しているとみていいだろう。
平成17年(2005年)
『頭がいい人、悪い人の話し方』樋口裕一
新書ブームって、タイトルがセンセーショナルなものとか目を引くものが多い。(つまり、中身は薄いということだ)電子版も出ている。
『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』が流行ったのもこの年。
平成18年(2006年)
『国家の品格』藤原正彦
電子化されている。この本のおかげで、○○の品格という言葉が流行った気がする。新書が本当に多い。
平成19年(2007年)
『女性の品格 装いから生き方まで』坂東眞理子
電子化されている。二年連続で○○の品格というところに、出版不況の深刻さを伺えるし、もうヒットコンテンツを作り出そうという気概も薄いのだなと思ってしまった。
この年は他にも『ホームレス中学生』が売れるなどした。この本電子化されていない。もう印税が十分入ったからいいのだろうか。個人的には読まなくてもいい作品ではあるが、時代を象徴するベストセラーなのだから、電子化してくれてもいいのになとは思う。
平成20年(2008年)
『ハリー・ポッターと死の秘宝』J・K・ローリング
はい、もういいかな笑 上で散々紹介したし。これが最後のハリー・ポッター。これ以降、ベストセラーに載ってこないのは寂しい。出版界を牽引してきた大ヒット作品がなくなり、いよいよ厳しい出版不況だ。
この年は『夢をかなえるゾウ』もベストセラー入りしている。哲学入門書だ。きちんと電子化している。
平成21年(2009年)
『1Q84』村上春樹
電子化していない。近年、徐々に村上春樹の作品は電子化が進んでいるものの「新潮社」作品は頑なに電子化されていない。なので、この『1Q84』は電子化されていない。新潮社は認識を改めるべきだし、電子書籍とかインターネットビジネスを理解できる人材を早く登用すべき。先見性や経営努力が0の会社だ。
平成22年(2010年)
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海
素晴らしい、電子化している。この頃には新書ブームは落ち着き、ハリー・ポッターもいない状態で、オリジナリティ溢れる本が出たものだと思った。
平成23年(2011年)
『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉
これそんなに売れたんだ。というより、モンスター級のヒット作が単になかっただけなのか。電子化していることは素直にたたえたい。
平成24年(2012年)
『聞く力』阿川佐和子
あら、また新書がベストセラーに。この本、次の年も売れ続けるから結構ブームだったのかな。(新書って弱者から金を巻き上げる知的兵器って感じなんだよな、個人的には。阿川佐和子は嫌いじゃないけど)電子書籍にもなってる。
平成25年(2013年)
『医者に殺されない47の心得 医療と薬を遠ざけて、元気に、長生きする方法』近藤誠
電子版出ている。それにしても、記憶にないんだが、この本、本当に一世風靡したのか、それとも出版不況がヤバすぎて、少しでも売れたら1位になっちまったのか。少なくとも社会現象とかじゃないよな。
社会現象という意味では、ドラマ「半沢直樹」の原作のシリーズ作品である『ロスジェネの逆襲』とかの方が話題性あった気がする。
後は、百田尚樹の『海賊とよばれた男』も話題になった。(というより、百田作品は売れまくってた
ちなみに、池井戸潤の作品は電子化されているが、百田尚樹の作品は一切電子化されていない。本人の我が強そうで、間違った言説(電子書籍は儲からない)を信奉してるんだろうな・・・。
平成26年(2014年)
『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』槙孝子
電子化している、そこは偉い。が、この本、そんなに売れたの?2年連続、健康本とか信じられない。しかも同じ出版社じゃないか。同じ読者もしくは読者層が買ったのだろうか。
出版不況ここに極まれり。
平成27年(2015年)
『火花』又吉直樹
記憶に新しい。お笑い芸人による芥川賞作品。純文学にしては読みやすいし、文章もこなれていて良かった。個人的には賞レース向きだと思った。時代を象徴しているし、電子書籍にもいち早くなっていた気がする。
平成28年(2016年)
『天才』石原慎太郎
電子化されているが、読んでいない。話題にはなっていたが、そこまで売れているとは。もう、本が社会現象を起こすことは稀なのかもしれない。
平成29年(2017年)
『九十歳。何がめでたい』佐藤愛子
電子化されていることはめでたい。これも知ってるけど、No1的とはいい難いなあ。ベストセラーがもはやベストセラーではない時代。
平成30年(2018年)
『漫画 君たちはどう生きるか』吉野源三郎
去年。電子化しているのは時代だろうか。いいことだ。でも、これが一番なのか。話題にはなったけどさ。(さきほどから同じことばかり笑)
まとめ
平成のベストセラーと呼ばれた本は、ほとんどが電子化されている。しかし、まだされていないものもある。(松本人志のエッセイとか、村上春樹の一部新潮社系の小説とか百田尚樹の小説とか)
40冊ほど取り上げてみたが、30冊ほどが電子化されていた。ベストセラーでもこの程度、75%ほどしかまだ電子化が進んでいないのだ。
これは喫緊の課題であろうと思われるので、早いところ解消して欲しいもんである。
最後に所感ではあるが、平成も最後の方になると、超話題になり、人心に深く刻み込まれるような社会現象にまでなるような本というのは登場していないと感じた。
それだけ出版不況は深刻ということだろうか。
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