奇跡の復活か。集英社16年分の決算まとめ。

奇跡の復活か。集英社16年分の決算まとめ。

9月に入ってしまったが、通常、8月後半といえば、集英社の株主総会だ。なぜか今年は8月中にその情報が漏れてこず、9月の6日あたりにようやく衆目の認めるところになるのであった。

我らが新文化社がようやく記事をアップしてくれている。そこには画期的な数字を出した決算と書かれている。これは気になる、気になるではないか。

売上が大幅に回復しているが、”電子書籍業界”的には普通

いつも書いていることだが、新文化社の記事を書いた人が経済に疎いのか、営業利益や経常利益にも言及してくれないと困る。特別損益が出て、最終黒字なのか否か等が全く不明だからだ。これでは扇情していると言われても致し方ないないし、集英社の提灯持ちと思われても仕方ない。

売上の話に戻ろう。売上はなんと1,333億円に達している。おめでとう。1,300億円以上というのは2009年度の決算ぶりだ。(2009年度は1,304億)

去年度の売上が1,164億だから、+169億(+14.5%増)だ。

しかし、電子書籍市場の伸びから言ったら、正直普通である。この程度で喜ぶ記者は本当に業界人なのか怪しいし、この程度で喜んでいる集英社の関係者がいたら危機感が足らない。

だから、あえて言わしてもらうと、画期的でも奇跡でも何でもなく「当たり前の結果」がやっと出てきたということだ。なぜなら電子書籍の市場はもっと伸びているから。そこに出遅れていた集英社がやっと時代に追いついてきたのだ。経営努力次第ではもっと伸びるのではないだろうか。

16年分のグラフはこちら

集英社

売上は1,333億だ。それを電子とそれ以外に分けたのが、上のグラフだ。今回、デジタル等が大幅躍進したという。割合自体は不明だが、↑のグラフでは26%くらいで算出している。(根拠としては曖昧だが、”大幅躍進”という事実を前年売上1.5倍程度と解釈した。それを実際の数字に当てはめて、割合を算出した結果が26%という数値だ)

電子は349億でそれ以外が984億という具合になった。

推定ではあるが、講談社が大体300億超えの電子書籍割合と仮定しているので、それを超えてきているあたりが集英社の”大幅躍進”とも言えそうだ。したがって、この数値はあながち間違いではない気がする。

繰り返すが、これは至って普通の結果だ。出版社が斜陽産業と言っても電子書籍は伸びているのだから、うまくいけば当然それと同等の稼ぎが出版社もできるからだ。

  • 売上推移(16年分)
    • 2003年度 1,378億円
    • 2004年度 1,378億円
    • 2005年度 1,399億円
    • 2006年度 1,389億円
    • 2007年度 1,376億円
    • 2008年度 1,332億円
    • 2009年度 1,304億円
    • 2010年度 1,318億円
    • 2011年度 1,260億円
    • 2012年度 1,253億円
    • 2013年度 1,232億円
    • 2014年度 1,221億円
    • 2015年度 1,229億円
    • 2016年度 1,175億円
    • 2017年度 1,164億円
    • 2018年度1,333億円

16年分でみると、今回の1,333億と2003年の1,378億を比べると3%分しか下落していない。斜陽館は払拭した?とも言えなくもない。ここからのV字回復に期待するしかない。

最近の集英社と言えば、Dr.STONE

週刊少年ジャンプ連載中の『Dr.STONE』は今回の決算を後押ししているのではないかと思っている(主観中の主観)

こち亀が終わり、ONE PIECEも100巻くらいで終わりそうだが、次世代のジャンプを次ぐ漫画として私は『Dr.STONE』を挙げたい。

内容は一切紹介しないので、まずは1巻だけでも読んでもらいたい。

シヴィライゼーションとかマインクラフトとかToysDream(超マイナーゲーム)とか、物作りがテーマになるようなゲームが好きな人にはウケそうな漫画だ。

個人的には小説『火星の人』(映画だと、マット・デイモンが主演した『邦題:オデッセイ』)が好きな人もややSFよりだが、少年誌にしては”ハード”なSFとして楽しめるのではないかと思っている。


AGCとのコラボも良かった

完全に集英社の決算からは脱線するが、この8月までやっていたガラス会社とのコラボ展示もよかった。会社帰りについ寄ってしまった。この場で勝手にレポートしておきたい。

『実験する漫画展 AGC MEETS Dr.STONE』

もう開催期間を過ぎているので、これから行くことはできないが、東京・京橋でDr.STONEの展示があったのだ。

入ると、かなり手厚くスタッフが誘導してくれる。ちなみに、全巻読んでいないとかなりネタバレになるので注意が必要だ笑

というのも、原作に登場する”科学”が実現されているから、読んでいないとなんじゃこりゃになる。

スイカの被り物の写真などもっとあげたいのはやまやまだが、このくらいにしておこう。

とにかく、集英社はDr.STONEをもっと盛り上げて、来年は売上1,400億くらいは目指して欲しい。