LINEマンガなどコミック系アプリの趨勢

LINEマンガなどコミック系アプリの趨勢

マンガアプリも隆盛を誇る

アプリランキングiOS

”ブック”カテゴリのランキングバトルは2位以下で

1位は永久欠番か殿堂入りにした方がいいのではないだろうか。LINEマンガの独走状態である。この一位は調べてみると、2013年10月から続いている。4年間もの間、揺るぎない地位。恐るべし、LINEマンガ。他の競合は何しとるんじゃ!(ちなみにモンストやパズドラを入れたゲームなどの全体セールスランキングの中でも、LINEマンガは平均的に20位前後にいるので、たいしたものである。そこから想定するに、TOP10は月商10億というのを小耳に挟んだことがあるので、それ以下であるということは、月商7〜9億で揺れ動いているという形であろうか)

これには理由というかカラクリがございまして

LINEマンガが不動の一位になっている理由はLINEマンガがきちっと売り上げている事実はあるにはあるが、それよりも2位以下のアプリが普通というのも理由だ。普通というのは、サービスが悪いというわけではなく、収益性が悪いという意味で普通ということだ。基本無料アプリがほとんどだからダウンロード数は稼ぐのだが、如何せんアプリ内課金が振るわない。アプリ内課金の課金額により、このセールスランキングは形成されているので、課金されなきゃ意味がないのだ。

もう一つの理由はLINEマンガより、儲かっているであろうと推測される他の競合が、アプリ内課金を実装したアプリをAppStore(AndroidならGoogle Play)で配信していないからだ。そりゃそうだ。アプリ内課金では、その胴元であるAppleやGoogleに、税金の如く、売上の30%を持っていかれる。だから、各社はそのプラットフォーム上での課金はしていないのだ。ところが、LINEマンガはあえて利益率を度外視して、そのプラットフォーム上で勝負している。集客を考えてのことだろうが、資本力がないとできないことだ。あのAmazonKindleや楽天Koboも、アプリ内課金では電子書籍を売っていない。仮に100円の本があったとして、通常のスキームでは、売れた100円を、電子書店・出版社・電子取次等で分け合う。そこに、Appleなどのプラットフォーマーがさらに入れば、取り分が無くなるのは当然だ。Appleが入った場合、30%がAppleに取られるため、100円の本は実質70円ということになる。利益がその分縮小される。

iOSアプリでは売上の70%を収益として受け取れます。

アプリ内課金がメインではない事業者は、WEB課金ファーストとなっていることがほとんどだ。この場合、App StoreやGoogle Playのランキングには載りはしない。売上の主力は他プラットフォーム(つまり、WEBでのクレジットカードとか、キャリア決済とか)にある。Rentaなんかは、あれだけTVCMを打っているのだから、もっと売上上位に食い込んでいいはずだが、ランキングは低い。これは、アプリ内課金以外での売上が高いからだろう。それでもアプリ内課金を入れているのは、LINEマンガ同様に、集客戦略があるのだろう。

LINEマンガが本のカテゴリでセールスランク1位の理由

  • 1位に相応しいだけの売上を稼いでいる
  • 2位以下が相手にならないくらい弱い
  • 他の競合がアプリ内課金できるアプリを出していない(もしくはWEB課金ファースト)

出版社系アプリはもっと頑張って欲しい

出版社が自分たちで出しているアプリはもっと奮闘して欲しい。売上ファーストではないのかもしれないが、事業として成り立っているレベルなのか気になる。結構、調子が良いとされるジャンプ+やマンガワンもLINEマンガという超えられない壁の前では無力に等しい。(売上も憶測に過ぎないが1,000万がいいところなのでは。)出版社系のアプリにはアプリ内課金しかないので、それで儲けないと後がないはずだ。

広告系アプリはここには計上されず

ここにあるだけが、電子書籍アプリではない。広告を入れて、それで儲けるビジネスモデルも存在している。3年前に隆盛を誇っていた。

半年で2億円! ある上場ベンチャーに見る驚きの電子コミック売上

このイグニスという会社は今でこそ、ゲームがヒットしてそちらへのシフトをしているが、全巻無料アプリで頭角を現して言ってもいい。ところが、今はその分野でのアプリは一切配信していない。恐らく、出版社や権利者と契約を打ち切ったのが原因だろう。2015年9月期の第4四半期のIR資料を見ても、7百万円しか売上がない。次の年から全巻無料型ハイブリットアプリという事業体がなくなっているので、売上項目が消滅している。

イグニス全巻無料型売上

ということはつまり、この種のビジネスモデルは今後もうあまり電子書籍業界としては流行らないのかもしれない。(一時期はみんなこぞってリリースしてましたが)